創世記

【エジプトにきたヨセフのきょうだい】

エジプトに穀物があると聞いて、ヤコブは息子たちに言いました。

「おまえたちは、なぜじっとすわって、顔を見あわせてばかりいるのか。エジプトにはたくさんの穀物があると聞いている。行って買ってきてはどうだろう。そうすれば、わたしたちは生きのびることができるだろう。」

そこでヨセフの十人のきょうだいたちは、穀物を買いにエジプトにむかいました。けれどもヨセフの末の弟のベニアミンだけは、あとにのこりました。「何かわざわいがふりかかってはいけないから」と言って、ヤコブが行かせなかったのです。

こうしてヤコブの息子たちは、穀物を買いにきたたくさんの人びとにまじって、エジプトにきました。ヨセフは、このときエジプトの大臣でしたから、みんなに穀物を売っていました。ヨセフの兄たちは、ヨセフの前で、顔を地につけておじぎをしました。

ヨセフは、それが兄たちだと気づきましたが、まるで見知らぬ者のように、らんぼうにあつかいました。

「おまえたちはどこからきたのか。」

「食糧を買いに、カナンの地からまいりました。」

兄たちは、それがヨセフだとは気がつきませんでした。ヨセフは、むかし兄たちの夢を見たことを思いだしました。

「おまえたちはスパイだろう。このくにの秘密をさぐりだしにきたのだろう。」

「いいえ、とんでもございません。わたしたちは、ただ食糧を買いにやってきただけでございます。わたしたちは正直もので、けっしてスパイなどではありません。」

「いや、おまえたちは、この国の秘密をさぐりにきたのにちがいない。」

「わたしたちは十二人きょうだいで、カナンの地に住んでいます。末の弟は父といっしょにいます。もうひとりは、もう死んでしまいました。」

しかし、ヨセフは聞きいれず、こう言いました。

「だれか、いちばん下の弟をカナンからつれてきなさい。それまでは、おまえたちを牢屋につないでおいて、おまえたちの言ってることが、ほんとうかどうかためしてみよう。もし弟がこなければ、おまえたちはスパイにちがいない。」

こうして、ヨセフはきょうだいたちを三日のあいだ、へやにとじこめ、見はりをつけておきました。

三日めに、ヨセフはまた言いました。

「わたしは神をおそれるものです。もしおまえたちが正直ものなら、だれかひとりをこの牢にのこして、ほかのものは穀物を持って帰り、家族のものをすくいなさい。そのかわりに、いちばん下の弟をつれてきなさい。そうすれば、おまえたちがうそをついていなかったことがわかり、おまえたちは死なずにすむだろう。」

きょうだいたちは、おたがいに言いあいました。

「わたしたちは、むかし弟ヨセフのことで悪いことをした。弟が泣いてたのんだときに、弟の苦しみをよく知っていながら、聞こうともしなかった。だからいま、この苦しみがわたしたちの上にふりかかってくるのだ。」

ルベンはみんなに言いました。

「わたしは、ヨセフに悪いことをするなと言っておいたのに、おまえたちは聞こうともしなかった。いま、わたしたちは弟の血のむくいを受けなければならないのだ。」

きょうだいたちは、この話がヨセフにつたわっているとは夢にも知らず、くちぐちに言いあいました。ヨセフは、通訳をつけて話を聞いていたのです。

ヨセフは、きょうだいたちのところをはなれてひとりでなき、また帰ってきて、みんなと話をしました。それから、きょうだいたちのなかからシメオンをとらえて、みんなの目の前でしばりました。

つぎにヨセフは、けらいに言いつけて、きょうだいたちの袋を穀物でいっぱいにさせ、めいめいの袋にお金もかえしてやり、とちゅうのたべものもあたえました。

(つづく)

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