ホセ・デ・リベーラ「モーゼ」(1638)

ロバート・ブラウニングの詩をお届けいたします。

愛の樹オショチ†

(十三)

されば 私は老年をさし招き

青年の嗣業を授けたい、

人生を戦い果てて その終わりに達したれば。

これより私は渡りゆこう、一人前の人と認められ

発達した獣からは 永遠に解脱(げだつ)し

未だ芽生えにはあれど

一つの神として。

(十四)

されば ここに一休みして後、私は

もう一度 勇ましく 新しい

冒険の途(みち)に 出立しよう。

次の戦闘をはじめる時には

恐れまい 惑(まど)うまい、

どんな武器を択

(えら)ぼうか どんな鎧(よろい)をつけようか、と。

(十五)

青年期 終えて、今ここに

わが成敗、損益を吟味しよう。

火焔は灰に帰するも、なお黄金を残す。

その目方を量って 私は

人生を賞(ほ)めもし

咎(とが)めもしよう。

若き時は 万事が論争に埋もる、

老いてのち 真相を私は知る。

(十六)

見よ、黄昏(たそがれ)の閉ざす頃、

しかと一瞬が 仕事を仕切り

灰空から 栄光の雲を呼び出すや、

西の方から 一つの囁(ささや)きが射(い)来たる、

「この日を 他の日々に加えよ。

また取り上げて その価(あたい)を調べよ。

ここに一日が 消えてゆく」と。

(十七)

かくて 人生の闘いを超脱(ちょうだつ)したれども、

この余生ある間に 私をして

見分け、見較(くら)べ、遂に断言せしめよ、

「この憤激は 概(おおむ)ね正しく、

かの黙従は 無駄であった。

今や過去を閲(けみ)したれば、

未来に私は立ち向かい得る」と。

(十八)

今日学びし事を 明日行おうと

やっと力づけられた人に、

もう為(な)すべき業は 何も残っていない。

ここでは、主の御働きを見まもって

正しき技巧のヒントをとらえ

道具の真の使い方のこつを把(つか)めばよい。

(十九)

青年は 既成のものに安んずるよりは

その技拙(つたな)くとも 創作に向かって

励むことこそ よい。

老いては なお試みるよりは

闘いを免れて 悟ることこそ よい。

汝は老年を待った。死を待ちて 恐れるな!

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