ある山道で、粗末な衣服を身にまとい、神様のみ言葉を伝えて歩く1人の老人に、若い求道者が旅先で道連れになりました。

行く先々で、老人は 寂しい家を見付けては、誰に頼まれた訳でも無いのに、寂しい人の話を聞いたり、慰め励ましたり、その人のためになることを心を込めてやりました。

老人は寂しい人が、安心したのを見届けると静かに手を合わせてから、姿を消すのでした。

若者の求道者は、その有様を、不思議な気持ちで眺めていました。

「自分よりみすぼらしく、杖1本のこの老いた御方は何者だろか?」

2人とも旅で、ホコリだらけでしたから、まるで乞食のような姿に見えました。。

ある村の入口にさしかかった時の事でした。

村人の1人が大声を上げて叫びました!

「お前たち、村に入るな!物乞いはもうたくさんだ!さっさと失せろ!」

その言葉を聞くと老人は静かに、何時もの仕草で、手を胸の前に合わせ合掌してから立ち去りました。

暫らく歩き、若者が先ほどの村を振り返って見ると、村全体が黒い雲に覆われて闇の中に沈んでいました。

「あっ!」若者の声で振り向いた老人は、大地に直ちに跪いて祈り始めました。

「あの村人たちに、罰を与えないでください。彼等は愛を知りません。無知の闇に閉ざされています。

神よ愛にまします大いなる主よ!彼等の無知を罰しないでください!

どうか、寂しい村人たちに呪いではなく、愛の目覚めを代わりにお与えください!」…

老人の祈りは真剣そのものでした。

若者の求道者は目を瞠(みは)りました。

小柄で痩せこけて、あまり風采の良くない外見から、想像も付かない神のような目を持った御方がおられる。

彼は不思議な夢を見ているのだと、錯覚しました。

目をこすり、瞼を閉じてまた開くと、老人が静かに語りはじめました。

「若者の求道者君、神はゆえなく人を罰しないで、許しの時をお与えくださる。

今が正にその時なのです。

わたしの使命は執り成しの祈りを托され村人を目覚めに導くことです!

もう、わたしの使命は果たしました。

「若者の求道者君、此処でお別れです!君が見たままが神とわたしの真実そのもの、神は愛です。

君は信じますか?神と人との深い関わりを?」

彼は答えました。

「主よあなたの御心を信じます!」

若者の求道者が目を開いた時、老人の姿は消えていました。

若者の求道者は、再びあの村に目を向けました。

あの村を覆っていた闇は消え失せて、明るく輝いていました!

優しい風に包まれて、若者の求道者は村に別れを告げて、北に向かい歩き始めました。

あの不思議な老人の温もりを肌に感じながら!

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